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SACDと"デジタル・オーディオの基本と応用"

河合一氏の著書 "デジタル・オーディオの基本と応用" は、もう9年前の出版ではあるが、DAC を中心にデジタル・オーディオ・デバイスの正しい特性の見方や評価の仕方、各種方式の違いを簡潔かつ丁寧に教えてくれる良書だと思う。

惜しい点を何点か。

1. SACD の評価
SACDは、著者が本書中で示唆するようたしかに過大評価されており、一般に思われているような夢の次世代方式ではなかったと思う。著者がp144で指摘しているよう、⊿Σ型DACよりもDSD再生のほうが帯域外ノイズが多いのは、それを示す一例だろう。
しかし、⊿Σ型DACとDSD録音・再生は、たどるプロセスについてはほぼおなじはずである。とすれば、何がこの差を生んでいるのか、の考察は意味があると思うのだが、そこに残念ながら言及がない。


2. ディザリング、ノイズシェーピング、オーバーサンプリング については軽く触れているのみ

3. 32ビットの評価
32ビットについては、一定の意味を認めつつ、注意点にも考慮深く言及されていて、公平な記述になっていると思う。32ビット化のメリットは、精度(解像度)の向上と余裕のあるヘッドルームができることにあり、24ビットや16ビットに収める際に切り捨てられていた情報も保たれる、というのもそのとおりだが、問題はビット深度を下げる際に正しく"切り捨てる"のが難しい点にもあるはずだ。もし無理なく切り捨てることができるなら、人間の耳には24ビットでも十分だったりしないだろうか。

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